減少が続く銭湯に、
今や若者たち、外国からの旅行客に人気が高まり、
いまだに根強いファンもいる。
湯船に身を沈める幸福感に、一役も二役も担ってきた銭湯絵。
背景画の富士山に郷愁を感じる人も多いのではないだろうか。
現存する銭湯絵師3人(中島盛夫、田中みずき)の一人で、
最高齢の丸山清人さん(86=国立市)の個展が、
11月11日(木)から国立駅南口近くの「ギャラリービブリオ」で
開かれる。
入場無料です。
下記クリックで好きな項目に移動します☆
時間との勝負の職人技!
1964年(昭和39年)の東京オリンピック前後から、
都内に銭湯が急増、「ピーク時には2700軒近くもあった」と語る
丸山さんは当時、中島さんと二人一組で、
日曜以外は背景画を描くことに追われた。
最盛期である1970年代には
1日で2ヶ所の銭湯で背景画を描き上げたことがあるという。
銭湯には当時定休日がなかったから、
早朝から取り掛かり、その日の開店に間に合わさなければならない。
銭湯によってサイズも形もまちまちだが、
通常は一面の横3間半(6・3㍍)、縦2~3間。
男湯と女湯の壁が連なっている場合もある。
絵柄や構図はその場に立つと浮かんでくるそうで、
時間との勝負も職人技。
とにかく、午後1時には終えなければならない。
引き上げる時には、開店待ちの銭湯の前に列ができている。
長いキャリア…失敗 苦労話
タイル張りの浴槽の上に足場を組む。
絵の具を混ぜ合わせる。
丸山清人さんは迷いのない筆運びで壁に色を重ねていきます。
下書きできない一発勝負。
昔はどこの銭湯にもあったベビーベッドとか、
湯船の木の蓋を足場代わりにして、はしごは銭湯から借りて。
一度足場から湯船に落ちて足を火傷したことがあったとか。
足場の上でバランスを崩して熱いお湯の中にドボン。
ペンキを湯船に落として怒られたりしたこともあったそう。
プロフィール
1935年(昭和10年)東京都杉並区生まれ。
叔父の故・丸山喜久男に18歳の時に弟子入りし、
叔父のもとで背景画を学ぶ。
兄弟弟子の中島盛夫氏とは、共に現役で活動中。
25歳で独立。
最近では、銭湯以外にも進出!
大学の講演会、小学校の銭湯プロジェクトへの参加など、
多岐にわたって活動中。
今までに描いた作品数は10,000枚を超える。
そんな活動のひとつが、
ここがアート!「雪印コーヒーの湯]が3日間限定で登場!
《大田区明神湯で、2018年2月16日から2月18日》
丸山清人さんが手掛けた
「雪印コーヒー」の銭湯壁画も必見!!
この企画は、
雪印コーヒー発売から2017年で55年記念を迎えたことを
記念して行われたキャンペーンの一環。
そんな壁画はもちろん、
暖簾、桶も雪印コーヒーモードに変わり、
期間中には”本物”の雪印コーヒーを数量限定で無料プレゼント。
お湯につかった後は、雪印コーヒーで喉を潤せるそんな企画。
お湯は「雪印コーヒー」をイメージした
オリジナル入浴剤を使用したもの。
中島盛夫 描いた富士山10000点!
プロフィール
1945年福島県相馬郡飯舘村出身。
東京オリンピックの前年、1963年に
上京して故・丸山喜久男氏に師事。
ローラー使いを初考案し、
背景画制作の時間短縮に貢献。
銭湯の減少にともない背景画師が減る中、
日本を代表する背景画師の一人として
幅広いフィールドで活躍されています。
練馬区北町在住。
中島盛夫さんの「ペンキ絵感」
浴場をいかに広く、明るく見せるかが大事。
広いところはより広く、狭いところは川などで奥行きを出すことで
露天風呂に入ったみたいにのびのびした気分になるという。
男湯と女湯では同じ絵を描かないのもルール?
富士山が2つあったらおかしいし、
だから男湯で富士山を描いたら、
女湯では水辺などのおだやかな風景にするなどのメリハリが必要。
それでいて、全体では1枚の絵になるような構図の工夫が必要。
銭湯の富士山を描きたい女子YOUが中島盛夫さんに弟子入り!
昭和31年創業の老舗銭湯で、
浦和の「鹿島湯」です。
銭湯の富士山を描きたい女子YOUが描いた赤富士
銭湯絵は、湯気で劣化するため3~4年で描き替えます。
2021年8月に描き替えられたこの赤富士は、
テレビ東京の「Youは何しに日本へ?」の企画で、
銭湯好きのベルギー人女性の手による斬新な色使いです。
男湯は松の木、女湯には満開の桜が描かれました。
所要時間は16時間。
田中みずきさん「銭湯絵師」の中で、最年少かつ唯一の女性
《2015年のAudi Japanの広告プロジェクトとして、『第二日の出湯』》
プロフィール
1983年大阪生まれの東京育ち。
明治学院大学で美術史を専攻。
在学中の2004年に銭湯ペンキ絵師の中島盛夫さんに
弟子入りして修行を始め、2013年に独立。
2013年に独立してから2018年までに延べ100軒余りの銭湯で描いてきた
田中みずきさんの「ペンキ絵感」
上記の画像は期間限定で描かれたもの。
ペンキ絵と広告は、昔からある取り合わせ。
かつてはペンキ絵の端に地元のお店の広告がずらりと並んで、
絵師が広告会社に所属していた時代もあったそうです。
期間中は、“Audi桶”も用意する徹底ぶり。
日本の伝統文化と高級車という、遊び心を感じさせる試みとなりました。
『第二日の出湯』
絵の左側には蒲田駅前の商店街、駅前ビルの観覧車や池上本門寺、
右側には羽田空港と多摩川、その向こうに富士山を望むという構図。
蒲田で大規模なロケが行われたので、
これを機会に地域をアピールしたいと、大田区から依頼されたもの。
「銭湯絵師 丸山清人個展2021」
11/11(木)〜11/23(火)。
水曜(11/7)はお休み。
開廊時間は11時〜19時。
国立駅から徒歩3分
のギャラリービブリオにて。