最近の皇室の話題で愛子さまが初めてローブ・デコルテをお召しになり、
注目されたティアラ姿もお披露目となった。
今回、お召しになったティアラは、新調したものではなく、
天皇陛下の妹・黒田清子さんが使ったティアラを借りたもの。
内面からにじみ出る、本物の美しさだからこそ、
美しいティアラもよくお似合いなんですね。
今回、愛子内親王のティアラ製作費を
宮内庁予算に盛り込まなかった理由として、
宮内庁は「新型コロナの状況を考慮して」と説明していますが、
そもそも女性皇族はなぜティアラを付けられるのでしょうか?
成年女性皇族は公務を担うようになり、
宮殿行事や外国からの国賓を接遇する晩さん会など国際親善の場では、
勲章とともに正装を持って迎えるのが礼儀とされてきました。
日本が近代化していく過程で、
洋装とセットで導入された皇室の新たな伝統ともいえる
ティアラの歴史を解き明かしてみましょう。
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皇室のティアラ、その始まり
【明治】昭憲皇太后
日本で初めてティアラを身に着けたのは、
明治天皇の后(きさき)、
美子皇后(昭憲皇太后)でした。
明治20年、
新年の儀式で着けたのが最初だと言われ、
中央には21カラットもの巨大なダイヤモンドが輝き、
周囲にはブリリアントカットされたダイヤが60個も使われている。
皇后の第一ティアラのデザインは?
昭憲皇太后の時は、センターがひときわ高く、
先端に星型の飾りが据えられたデザインだった。
130年前 国の威信をかけて購入
明治中期、
日本が西欧の国々と並ぶ近代国家になったことを内外に示すため、
宮中の国際化に取り組んだ初代首相伊藤博文の進言により、
ティアラを取り入れたとされています。
これは今も「皇后の第一ティアラ」と呼ばれ、
現在までなんと130年以上もの間、歴代の皇后に受け継がれています。
マント・ド・クール(フランス語で宮廷礼服の意味)と
ティアラなどの装飾品をドイツに注文。
当時のお金で15万4千円でした。
国際的社交場 「鹿鳴館」の建設
ヨーロッパの制度や生活様式、服装などを
積極的に取り入れるべきだと考え、
総工費18万円で
外国人との交流の場を設けようと建設されたのが
「鹿鳴館」だったのです。
宮中の国際化に国家の威信をかけ、巨額を投入したのです。
【大正】貞明(ていめい)皇后の「弟二ティアラ」
菊がデザインされた、
日本の皇室の為に存在するといったティアラ。
これが初の国産ティアラでした。
明治時代後期にミキモトが、
1915年大正天皇の即位式に合わせ、
その妻・貞明皇后の為に作成したもので、
やはり歴代の皇后に受け継がれてきました。
貞明皇后の第一ティアラのデザインは?
それが大正天皇の后・貞明皇后になると、
ティアラ本体は同じでも昭憲皇太后星型の装飾はなくなり、
中央に21カラットのダイヤが強調されている。
皇后の装飾品は代々引き継がれる世襲財産に決定
皇太子(大正天皇)のご成婚という慶事を契機に、
皇后の装飾品は(真珠の首飾りやブレスレットなど10項目の装飾品)
世襲財産と決定されることになったのです。
ティアラの所有者は?
女性皇族が使われるティアラには、
① 国の税金である宮廷費で作った国の物品
② 皇室経済法の由緒物
明治以来、歴代皇后が身に着けてきた装飾品は「由緒物」といわれる。
③ 天皇家の生活費(内邸費)でつくられた個人の私物
3種類に分かれる。
このうち、①と⓶は非課税で
女性皇族が皇室を離れる際、ティアラは国に返納される。
愛子さまのティアラは、なぜ黒田清子さんから借りたのか?
女性皇族の権威を表すティアラは、
皇室内での地位や立場をありのままにに表している。
同じお立場の方に受け継がれていく皇室のティアラ
「皇后の第一ティアラ」は、皇后しか着用できず、
また皇太子妃にも、そのお立場でしか身に着けられないティアラがある。
現天皇皇后陛下御成婚パレードの映像でも見たことがあるティアラは、
美智子さまが皇太子妃となられた結婚の際に着けていたもので、
代々の皇太子妃に受け継がれてきたもの。
これは現在、皇嗣妃である紀子さまがお使いになっている。
つまり、皇室のティアラは、同じお立場の方に受け継がれていく。
愛子さまがティアラを、
平成の時代、天皇家の内親王という同じ立場だった
黒田清子さんにお借りしたのも、当たり前のことだったのだ。
それにしても愛子さまのティアラが、
今後、ずっとお借りしたものを着けることになるのか、
将来、仮に内邸費でつくることになれば課税対象になるでしょう。
ティアラの制作 技術と職人技
女性皇族のティアラはどのように作られているのか。
コンピューターの設計システムを使って、
部品の形や傾き、宝石の大きさなどを調整してデザイン。
構成する部品のもとになる型は、3Dプリンターで作ります。
部品は1000個近くに上るということで、
熟練の職人がすべて手作業で組み立てていき、
繰り返し研磨して形を整え、
ダイヤモンドなどの宝石類を取り付けるそうです。
製作期間は最短でも半年、およそ1年半かかるものもあるといいます。
技術者 職人さんのティアラ感
ティアラは一般的なジュエリーとは格が違い、
技術の高さが問われていると思います。
特に皇室の方のティアラに携わるのは、
名誉なことで、特別な思いで作っています。
歴史に残るものなので、
未来の人たちが自分たちが作ったものを見て
「きれいだなと思ってくれたらいい」と思っています。
格調の高さのシンボル、
取り扱う機会に恵まれたことを誇りに思うと話していました。