東京・上野の国立科学博物館で特別展「毒」を開催中。
毒をメインテーマにした同展示では、
動植物をはじめ、菌類・鉱物・人工毒など、
あらゆる毒にまつわる約250点の資料が全5章で展示されています。
怖さを感じるものの、身の回りの暮らしの中にある
毒に自分がどれほどの認知度があるのか
身近な問題でもありませんか。
毒はなんにでも関わっていて、
この展覧会でしか見れないものがたくさんあり、
そんな特別展「毒」の見どころに迫っていきましょう。
下記クリックで好きな項目に移動します☆
全5章の展示構成
特別展は、
① 「毒の世界へようこそ」
② 「毒の博物館」
⓷ 「毒と進化」
④ 「毒と人間」
⑤ 「毒とはうまくつきあおう」
で構成され、拡大模型や剥製(はくせい)などの標本、実物が
約250点展示されています。
② 「毒の博物館」 拡大模型の展示!
「毒の博物館」は、毒性を持つ動植物などの標本が
展示されたコーナー。
ハブは実物の約30倍、オオスズメバチは約40倍、
イラガは約100倍 、
セイヨウイラクサは約70倍の模型が展示されています。
「攻めるための毒」「守るための毒」
「攻めるための毒」
ハブは、
注射針のような長い牙 をもち、
その毒は強い出血毒で、
血管を破壊し、筋肉をとかし、
幹部の腫れや痛み、腹痛、嘔吐、意識障害などを引き起こします。
オオスズメバチは、
他のハチの2倍大きさがあり、
《刺された時の応急処置》は
刺された部分を水で洗い流し、その後、
患部をつまんで血と一緒に毒をだし、抗ヒスタミン系の
軟こうを塗り、保冷剤などで患部を冷やす。
オオスズメバチは香水や化粧品、整髪料などの
強い香りや匂いのものが好きで、できるだけ白に近い色の
服や帽子など着用するようにしましょう。
《シュミット指数》 ハチに刺された痛みをランク付け

ユーモアあふれる研究が多い「イグノーベル賞」は
人々を笑わせて考えさせる業績に対して贈られる賞。
受賞する研究のユニークさだけでなく
ユーモアと笑いにあふれた授賞式も大きな特徴の一つです。
「守るための毒」

イラガは、
漢字で書くと「刺蛾」となり、
体中に毒のあるとげがあります。
イラガが好む植物は
カキ、ナシ、サクラ、ウメ、アンズ、カエデ類、ヤナギ類、クリ、
クルミ、リンゴ、ザクロなど多くの樹木につき
1度に20~30匹産卵します。
イラガに刺されてしまうと、強い痛み、赤く腫れあがる、
皮膚に水疱状の炎症ができる、痒みといった症状が出ます。
対処法はほぼ、オオスズメバチと同じです。
とげ(テープなども使って・・・)を取り除くことがポイントです。
キノコは「菌類」
キノコは代表的な秋の味覚ですが、
食中毒の発生場所はほとんどが家庭であり、
よく似た毒キノコを間違って食べてしまうことが主な原因です。
食べることができるキノコは意外に少ないそうです。
殺人キノコ「ドクツルタケ」
嘔吐、下痢、腹痛
(治療後一日でおさまる)
↓ 安心していると・・
2段階目の中毒症状として
「黄疸(眼球・皮膚)」があらわれる。
↓
黄疸後、肝臓や腎臓も機能不全となり、死に至る。
対処方法は
早急に病院へ行き、胃洗浄・血液透析などの処置を行う必要があります。
世界一危険なキノコ カエンタケ
近づくだけでも皮膚や粘膜を侵し、
口にすれば死に至る可能性が非常に高く、
運よく命が助かっても後遺症はほぼ確実、
治療の分かれ目は摂取後数十分間が必須。
数日のうちに、言語障害や運動障害、麻痺などが現れます
⓷ 「毒と進化」
毒のある生物と毒のない生物たちは、どちらも
「こういうふうになろう」と思って出来たわけではないですよね。
たまたま出会った環境で生きるのに便利であれば、
それが定着したという形です。
毒より、もっと効果的な方法があったとしても、
その生物が得たものがたまたま「毒」であったからなんでしょうね。
ようするに、偶然ですね。
コアラのえさであるユーカリ
コアラの生態は? ⓵ 「独特の消化方法」
にあります。
コアラの腸の長さは2m、 ユーカリの葉は堅く、毒素である
タンニンや油分が多く含まれているので、長い腸で
ユーカリの葉の毒素を分解してから消化吸収するそうです。
一日に大体500~800g程度のユーカリの葉を食べると
言われています。
コアラの生態? ② 「水を飲まない(ほとんど)」
「Koalas (コアラ)」は 先住民の言葉で「水を飲まない」という
意味があるそうなんです。
ユーカリの葉には70%の水分が含まれ、雨の後に
葉っぱについた水滴や木の幹をなめて水分をとっていると
考えてられていました。
以前起きたオーストラリアの山火事を覚えていますか?
このときはコアラが救出され、
救急隊員がペットボトルで水を与えていました。
こうやって水を飲む姿は本当にコアラにとって緊急事態で
あるそうです。
《特別展「毒」会期 日時指定予約制》
開催期間 2022年11月1日(火)〜2023年2月19日(日)
入館料金 一般・大学生:2,000円 小・中・高校生:600円
未就学児は無料 障害者手帳をお持ちの方と介護者1名は無料。
休館日
月曜日、12月28日(水)~1月1日(日・祝)、1月10日(火)
ただし1月2日(月・休)、9日(月・祝)、2月13日(月)は開館
開館時間 09:00〜17:00 (入場は16時30分まで)
《最後に》
この展示が面白いと思ったのは、悪いイメージを否定せず、
丁寧に作りながらも、真面目さや怖さだけでなく、
ユーモアたっぷりの芝居小屋風な見せ方や、毒の歴史、
毒による被害や人間が作り出す毒、といった部分も
見せていることで、「毒」というものを広く表示しています。
博物館のもつ静かで堅苦しいイメージを取り払い、
ですが博物館だからこそ安心して見学ができるんだとおもいます。
とても良い展示なので、開催期間期が長いし、
ぜひ訪れてみてください。